「試遊レポ」ダークオークション 記憶を賭ける異色のオークション──本格ミステリーADV

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マシュマロ
2026年1月27日
試遊ミステリー

舞台は1981年、欧州某国。

18歳の青年ノア・クロフォードは、「独裁者X」に関わる品を集め続ける売れない小説家の父レオナルドと二人で暮らしている。幼い頃に母親に捨てられた過去を抱えるノアにとって、父の異常ともいえる収集癖は理解しがたいものだった。

そんなある日、レオナルドのもとに一通のオークション招待状が届く。「戻ったらすべて話す」という言葉を残し、父は古城へと向かうが、約束の日になっても帰ってこない。

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父を探して古城を訪れたノアは、そこで衝撃的な光景を目にする。やがてノア自身もオークション参加者として城に閉じ込められ、「記憶」を通貨とする奇妙なオークションへと巻き込まれていくことになる。

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出品物を落札するために必要なのはお金ではなく、自らの“記憶”。

参加者たちはEPOと呼ばれる記憶再現装置を使い、記憶を差し出して競りに挑む。しかし、トラウマや秘密に覆われた記憶は不完全で歪んでおり、そのままでは真実に辿り着けない。

ノアはサポーターとして他者の記憶に介入し、偽りを正しながら真相へ導いていく──そして父が隠していた巨大な秘密に迫っていくことになる。

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父親の残した秘密を知るため、ノアは自らサポーターとなり、ターゲットたちの記憶修復を手助けしていく

『ダークオークション』は、『アナザーコード』『ウィッシュルーム』を手掛けた鈴木理香氏が原作・シナリオを担当する本格ミステリーアドベンチャー。キャラクターデザインは『GANGSTA.』のコースケ氏、音楽には『モンスターハンター』シリーズの小見山優子氏と『女神転生』シリーズの増子津可燦氏が参加。ディレクター兼プロデューサーはIzanagiGamesの梅田慎介氏が務めている。

今回プレイしたデモ版は、なんと約3時間遊べるボリューム。序盤はまるで映画を観ているかのように物語が始まり、自然と世界観に引き込まれていく。

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操作は基本的にキーボードのみで完結し、目的も常に画面左上に表示されるため、何をすればいいかわからなくなることはほとんどない。マップの見取り図やノアの記憶をいつでも確認できるほか、1日が終わるごとにミニテスト形式で振り返りが入るなど、プレイヤーへの配慮はかなり手厚い印象だ。セーブ機能もあるため、選択肢に迷ってもやり直しがしやすく、効率よく物語を追える。

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探索パートでは古城内を歩き回り、部屋を調べたり他の参加者と会話したりしながら情報を集めていく。重要なヒントを見逃すと進行できない仕様になっているため、取りこぼしの心配がないのも初心者にはありがたいポイント。集めた情報は「ワードクラウド」に蓄積され、後の推理やオークションパートに活用される。

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本作最大の特徴は、オークションの“通貨”がお金ではなく「記憶」である点。参加者はEPOと呼ばれる装置を使い、自身の記憶を提供して落札に挑む。しかし、秘密やトラウマを抱えた記憶は歪んでおり、そのままではオークションは失敗してしまう。ノアはサポーターとして介入し、ターゲットやその関係者の記憶を修正しながら、真実へと導いていく。

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オークションは全4段階で構成されており、すべてのステップを完了するとオークションは成功となる。各フェーズで集めた情報と記憶をもとに真実へと近づいていく。

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他人の記憶を使って別の人物の記憶を復元していく仕組みは非常にユニークで、物語的にも強く惹きつけられる要素だった。オークション成功時に解放されるエピソードも印象的で、「出品物の裏にある物語」を辿っていく構造は本作ならでは。

全体的な印象として、有名声優陣による演技、作り込まれたキャラクター、雰囲気にマッチしたBGMなど演出面のクオリティは非常に高く、ミステリー感を盛り上げる演出は見事。一方で、ゲーム性という点ではやや物足りなさも感じた。いわゆる“ガッツリ謎解き”や探索の歯ごたえは控えめで、ストーリー主導型の体験が中心という印象だ。

正式版では、もう一歩踏み込んだ推理要素や探索の手応えが加わることに期待したい。物語と世界観はすでに十分魅力的なだけに、そこにプレイ感の深みが加われば、より強く印象に残る作品になるはずだ。

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