エレベーション「試遊レポ」

|
Saki
|
5
2025年12月30日
ホラー

百貨店を舞台としたドット絵ホラーゲーム『エレベーション』。ジャンルとしてはホラーアドベンチャーだが、ホラーゲームとしての怖さはかなり控えめで、怖いゲームが苦手な人でも安心して遊べる内容になっている。

本作は、夜間警備員である雜賀(さいが)と粢田(しとぎだ)の二人を操作し、百貨店で発生した異常事態の謎を探っていくホラーゲームである。主人公の二人は事件の影響によりそれぞれ片腕を失っており、唯一無事な手同士が結合した状態で巡回を行うという、非常に独特な設定です。百貨店内には従業員のほか、対話が可能な特殊な「幻覚」と呼ばれる存在が登場する。警備員・雜賀の「幻覚に触れる」能力と、粢田の「幻覚を探す」能力を使い分けながら、百貨店で起きた異常事態の真相を解き明かしていくことが本作の目的である。

ゲーム内には「エレベーション」と呼ばれる架空の薬物が登場する。本薬物は、換気を行ったうえで一度に3本投与することが使用ルールとされている。プレイヤーは興奮状態にある不審者へ投与することができるが、用法・用量を守らない使用者には、本来の用途とは異なる影響が現れている様子も描かれている。

エレベーション「試遊レポ」


エレベーション「試遊レポ」


百貨店内に現れる人物や存在は、ひとつひとつが意図的にデザインされており、強い違和感と不安感を与える。主人公である二人が手をつないだまま巡回する姿そのものも異様であり、上下に連なった人や、ショッピングカートと一体化した人物など、館内全体に不穏な空気が漂っている。

本作にはエンディング分岐がないため、全体のボリュームも短めとなっている。そのため、比較的サクッとクリアできる。物語では凄惨な出来事が描かれているもの、登場人物たちは過度な悲壮感を見せることなく淡々と物事を進めていくため、精神的な重さはそれほど強くない。後味は決して悪くないものの、明確なハッピーエンドというわけではない。

プレイ時間はおよそ1時間半ほど。ホラーゲームが苦手な人にもおすすめしやすい作品だ。色調はシンプルで、グラフィック自体も比較的簡素だが、音響演出と組み合わさることで、不安感のあるホラーらしい雰囲気がしっかりと表現されている。