『inZOI』アーリーアクセス1周年、ディレクターが「ついに『ザ・シムズ』が30年にわたり覇権を握る理由を理解した」と語る

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いずみ
2026年4月1日
シミュレーション

KRAFTON のライフシミュレーションゲーム『inZOI』は、2025年3月28日に Steam でアーリーアクセスを開始してから1周年を迎えた。プロデューサー兼プロダクトディレクターの 金亨俊 は、ソウルのスタジオで行われたメディアインタビューに応じ、この1年の成果と課題を振り返るとともに、当初ライバルとして掲げていた エレクトロニック・アーツ の人気シリーズ『ザ・シムズ』に対し、深い敬意を示した。

『inZOI』は Unreal Engine 5 を採用し、精緻でリアルなグラフィックを実現。Steamでは同時接続数の最高記録として8.7万人を達成し、発売初年度でPC版の累計販売本数は150万本を突破した。プレイヤーは「Zoi」と呼ばれるキャラクターを作成し、神の視点からその人生を導いていく。

ゲーム内では街の住民が自由意志で行動し、仕事・余暇・社交といった日常から、結婚、出産、病気、交通事故に至るまで多様な人生イベントが再現され、SNS上の話題までリアルに描かれている。一方で、こうした高い自由度を実現するオープンワールド設計は、開発チームにとって最大の課題となっている。

金亨俊 は IGN のインタビューで、「もし過去に戻ってもう一度やり直せるかと聞かれたら、正直ためらうと思う」と率直に語った。特に『ザ・シムズ3』がオープンワールドを採用し、『ザ・シムズ4』でロードを挟むエリア制に戻した理由について、「今ならその苦労がよく分かる」と理解を示している。

「この1年で一番大きな収穫は、『ザ・シムズ』が30年もトップに立ち続けている理由を理解できたことです。オープンワールドの生活シミュレーションは本当に難しく、おそらく他のチームが同じ道を選ぶことは簡単ではないでしょう」

また、アーリーアクセスを選んだ理由については、約29年の開発経験を持つ自身でも『inZOI』の規模は想像以上だったと説明。「実際に作ってみて初めて分かることが多く、アーリーアクセスなしでは“きちんと完成させる”ことはできなかった」と語った。

正式リリース前にはデモ版も公開し、不適切なユーザーの誤購入を防ぐ意図もあったが、それでも「プレイヤーにテスターの役割を担わせていることに対して、常に申し訳なさを感じている」と胸の内を明かしている。

「発売時点では、完成品としてまだ多くの不足がありました。すべての問題を自分たちだけで把握することはできず、プレイヤーにテストしてもらう形になっていることに対して、本当に申し訳なく思っています」

『inZOI』は発売からわずか1週間で100万本を突破し、KRAFTON 史上最速の販売記録を更新。発売後40分で Steam の世界売上ランキング1位に到達した。なお、コンソール版は現在も開発・計画段階にある。

一方で金氏は、「売上の数字よりも、既存プレイヤーに満足してもらうことの方が重要」と強調し、今後もアップデートを通じてゲーム内容を充実させていく方針を示した。さらに「本当にそんなに多くのお金を稼ぐ必要があるのか」と、商業的プレッシャーへの複雑な思いも吐露。「大きな利益を生むゲームもあれば、未来の可能性を示す作品もある。いつかゲーム業界の未来を変えるタイトルが現れるかもしれない」と語っている。

また、『ザ・シムズ』は自身の若い頃に大きな影響を与えた作品であり、現在は息子もシミュレーションゲームに夢中だという。将来はゲーム開発者になりたいと語る息子について、「特別な才能はまだ見えない」と冗談めかしつつも、すでに『inZOI』の活発なモッド制作者として活動していることを明かし、今後のモッドコミュニティの発展にも期待を寄せた。

『inZOI』は現在、PC(Steam)にてアーリーアクセス配信中。