AMD Ryzen 7 9850X3Dレビュー:最強ゲーム向けCPUがさらに高速化

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いずみ
2026年1月29日
ハードウェア

AMDはCES 2026にて、Ryzen 7 9800X3Dの後継モデルとなる新CPU「Ryzen 7 9850X3D」を正式発表した。今回は、そのゲーム性能がさらに進化しているのかをチェックしていく。

■ スペックとアーキテクチャ

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クロック向上モデルという位置づけのため、Ryzen 7 9800X3Dが採用していたTSMCの4nmプロセス、Zen 4アーキテクチャ、第2世代3D V-Cache技術(CCDダイがIHSメタルヒートスプレッダに直接接触する構造)といった特徴は、Ryzen 7 9850X3Dでもそのまま継承されている。キャッシュ容量も変更はなく、唯一の違いはブーストクロックが従来の5.2GHzから5.6GHzへ引き上げられた点だ。

■ ゲーム性能

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まずCPUボトルネックの影響が最も大きいフルHD(1080p)環境では、Ryzen 7 9850X3Dは13本のAAAタイトル平均でRyzen 7 9800X3D比1.5%の性能向上を記録し、競合のCore Ultra 9 285Kに対しては10.3%のリードを見せた。

タイトル別では『ファイナルファンタジーXIV』で最大44%の大差を付けたほか、『Horizon Zero Dawn Remastered』と『Red Dead Redemption 2』でも約20%の優位性を示している。

解像度をWQHD(1440p)に引き上げるとCPUボトルネックの影響は縮小し、Ryzen 7 9850X3DはRyzen 7 9800X3D比で1.6%向上、Core Ultra 9 285Kに対しては7.7%の差を付けた。

この環境でも最大差は『ファイナルファンタジーXIV』の26.6%で、『Horizon Zero Dawn Remastered』が22.3%、『Red Dead Redemption 2』が15.6%と続いている。

さらに4K Ultra HD(2160p)ではCPUボトルネックが一段と小さくなり、Ryzen 7 9850X3DはRyzen 7 9800X3D比で1.2%の伸び、Core Ultra 9 285Kに対しては3.6%のリードを維持。最大差は引き続き『ファイナルファンタジーXIV』の11.6%となった。

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競技系ファーストパーソン・シューティング(FPS)タイトルでは、Ryzen 7 9850X3Dの高クロックが『Counter-Strike 2(CS2)』で特に効果を発揮し、1080p解像度において比較的はっきりとした性能向上が見られた。

一方、『Rainbow Six Siege X』では、1080pおよび1440p解像度の両環境において、Ryzen 7 9850X3DおよびRyzen 7 9800X3DがCore Ultra 9 285Kとの差を広げる結果となっている。

■ マルチコアレンダリング性能

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ブーストクロックの引き上げにより、Ryzen 7 9850X3Dのシングルコア性能はRyzen 7 9800X3D比でおよそ7%向上。一方、総コア数/スレッド数に変更がないため、マルチコア性能の伸びは限定的で、増加幅は約2%程度にとどまっている。

■ 総合性能

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総合性能では、Ryzen 7 9850X3DはRyzen 7 9800X3D比でおよそ5%の向上を示している。

■ 消費電力と温度

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消費電力については、Ryzen 7 9850X3DとRyzen 7 9800X3Dはいずれも標準TDPおよび最大ブースト時の電力設定が同一のため、実測値もほぼ同等となり、ピーク時で約155W前後にとどまった。これはCore Ultra 9 285Kの最大365Wと比べると大幅に低い。

温度面も両モデルで大きな差はなく、最高温度は81.4℃だった。

■ まとめ

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実測結果を見る限り、同じく3D V-Cacheを搭載していることもあり、Ryzen 7 9850X3Dの平均的なゲーム性能はRyzen 7 9800X3Dからの伸び幅は限定的だが、もともと非常に高性能であるうえ、競合のフラッグシップ製品を依然として大きく引き離している。ブーストクロックの向上によりシングルコア性能が補強され、ライバルとの単コア性能差も確実に縮まった。

Ryzen 7 9850X3Dの価格は499米ドルで、Ryzen 7 9800X3Dとの差はわずか20米ドル。現時点ではDDR5メモリ価格が高騰していることもあり、Ryzen 7000シリーズのミドル〜ローエンドモデルを使用しているユーザーにとって、アップグレード先として検討しやすい選択肢となりそうだ。