哲学的オペラ『ALL ADRIFT』が Steam に登場 戦争の残骸を漂いながら、世界に“色”を取り戻す旅へ

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いずみ
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2025年12月2日

韓国の開発チーム Vittgen が手がける新作『ALL ADRIFT』は、2027 年に PC(Steam)向けに発売されると発表された。

公開された初のプロモーション動画では、独特のアート表現と濃厚な文学的世界観が垣間見える。

『ALL ADRIFT』は、人類の罪の記憶と“存在とは何か”という根源的な問いを主題とした「哲学オペラ式シミュレーションアドベンチャー」を自称している。

プレイヤーは主人公シアン・ライトチェイサーの旅路を追うことになる。

彼女は“呪われた不死の種族”の唯一の生き残りであり、現在はアルウィン帝国に捕らえられ、“宇宙の歴史を手術する”ことを強いられていた。

帝国のために宗教を創り、過去を書き換え、ときには数多の惑星の歴史そのものを改変させられるのだ。

物語の舞台は、すでに終末へと突き進んでいながら、停戦協定が結ばれてから 400 年が経った今もなお完全には終わっていない宇宙戦争の時代。

シアンは戦場の残骸を漂いながら、加害者であり被害者でもあるという矛盾した存在として、この世界に“色”を塗り続けている。

公式説明によれば、プレイヤーはシアンの視点を通して、手術台に載せられた「歴史」、人類が創り出した「神」、理解不能な宇宙構造、そして権力と死の狭間に閉じ込められ、永遠に消えることのない罪と悔恨と向き合うことになるという。

哲学的オペラ『ALL ADRIFT』が Steam に登場 戦争の残骸を漂いながら、世界に“色”を取り戻す旅へ

本作は、芸術作品のようなビジュアル、古典と現代を融合させた音楽、そして濃密な文学テキストが交わり、宇宙規模の美学的叙事詩を形作っている。

主人公シアンは、歴史を書き換える“手術師”であると同時に、帝国の支配下で利用される傀儡でもある。

永遠の命を持つ生存者でありながら、至るところで死と破壊の瞬間を目撃し続ける存在でもあるのだ。

戦死者の人数が広告看板のように娯楽として扱われ、帝国のプロパガンダは栄光と虚構の勝利を繰り返し刷り込む。

銀河を丸ごと消し飛ばす宇宙技術の閃光は、一瞬の輝きとして消えていく——。

こうした断片的なイメージの積み重ねが、『ALL ADRIFT』の陰鬱でありながら壮麗な世界観を構築している。

哲学的オペラ『ALL ADRIFT』が Steam に登場 戦争の残骸を漂いながら、世界に“色”を取り戻す旅へ

開発はインディークリエイターのBae Sang Hyun氏が中心となって進められており、プロデューサー、ディレクター、脚本、ゲームデザイン総監、美術総監、音楽制作までほぼすべてを一人で担当している。

さらに、INDIE Live Expo Awards 2024 では審査員を務めた経歴を持つ。

しかし、その成功がBae 氏にもたらしたものは決して順風満帆な未来ではなかった。

『Chasing Light』の売上は振るわず、加えてクラウドファンディングにも立て続けに失敗し、この 5 年間で 7 つの企画が中止に追い込まれたという。

公式のコメントによれば、彼は創作を続けるために大切に集めてきたゲームや書籍を手放さざるを得なかった時期すらあったという。

『ALL ADRIFT』は、そんな困難な年月の中でも作者が書き続けてきた作品である。

開発者は本作について、「失われたかもしれない希望」や、これまで正面から向き合えなかった感情を真正面から描くと語っている。

前作を超える、より強烈で、より衝撃的で、そしてより胸を打つ体験を目指して制作が進められているという。

『ALL ADRIFT』の脚本は 8 月時点で既に完成しており、現在は本格的な開発が進行中だ。

発売は 2027 年を予定しており、対応プラットフォームは PC(Steam)。