生成AIの台頭で、採用方式に変化。日本のゲーム会社が“現場作画”による新人面接を再導入

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いずみ
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2025年12月4日
ニュース

日本メディア「Daily 新潮」は、生成AIの普及と乱用がもたらす影響について報じ、その結果、一部のゲーム会社が新人採用で“現場作画”を再び導入し始めていると伝えた。

記事の冒頭では、漫画家・水木しげる氏ゆかりの鳥取県境港市で20年続いた「妖怪川柳コンテスト」が開催終了を決めたニュースを取り上げている。
理由は、生成AIによる作品があまりにも容易に作れてしまい、人間の作品との区別がつかなくなったためだという。主催の境港観光協会は、公平な審査が困難になったと判断した。

生成AIの影響は自治体のコンクールにとどまらず、漫画・小説を扱う出版社でも懸念が広がっている。
将来的に公募コンテストがAI作品で溢れる可能性があり、とはいえ安易に中止すれば新しい才能を発掘する機会が失われるというジレンマに直面している。

Daily 新潮は、匿名の中堅ゲーム会社にも取材した。
同社のアートディレクターB氏によると、応募作品がAI生成だった事例が急増しており、採用後に「実力が伴わない」ことが判明したケースもあったという。

B氏はこう語る。

「そこで私たちは採用プロセスを変え、
応募者にその場で絵を描いてもらう方式を取り入れました。
採用側の負担は確かに増えましたし、まるで昔に戻ったようですが、
私が知るかぎり、同じ対策を始めた会社は複数あります。」

生成AIの普及が進む中、人間のクリエイションをどう見極め、どう守るか。

日本のコンテンツ産業は、新たな課題に直面している。

一方で、B氏の所属する会社の経営陣の一部からは、「AIがあれば十分で、アーティストを雇う必要はないのでは」「AIを使いこなせる人材を採用すべきだ」といった声も上がっているという。

イラストレーター兼キャラクターデザイナーでもあるB氏は、こうした意見に強く反対しているが、自らの立場が揺らぎ始めていることも認めている。

B氏は次のように語る。

「私も業務で生成AIを補助的に使うことはあります。
ですが、ゼロから魅力的なキャラクターやビジュアルを生み出せるのは人間のクリエイターだけだと確信しています。
だからこそ、才能のある人を採用すべきだと上層部に提案し続けていますが、
会社は生成AIの活用に傾きつつあり、私の意見が通るかどうか不安です。」

生成AIの影響は文化面にも表れている。日本では ChatGPT が今年、「チャッピー」 の愛称で呼ばれ、流行語大賞にもノミネートされるほど話題となった。
AIへの注目度が急激に高まる一方で、人間クリエイターの価値をどう守るかが業界共通の課題になりつつある。

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